はじめに
2026年4月29日公開の『アギトー超能力戦争ー(HPはこちら)』を早速鑑賞してきました!
結論から言うと「微妙」の一言に尽きます!(個人の感想です)
決して「酷い映画」だとは思いません。でも「要潤を起用してこの程度なの?」という感想は否めず、かなり賛否も別れそうに感じます。
予習は必須ではない
まず『アギト』という作品は「TV本編」と「劇場版G4」が異なる世界線で描かれており、両者は時系列としても繋がりません。
そして今回の『超能力戦争』は諸々の描写を考慮すると『劇場版G4(以下「旧劇場版」)』の続編と考えて良さそうです。
では「旧劇場版を予め観ておくべきか」というと、個人的には必須ではないと感じました。
私はTV本編と旧劇場版を全て履修した上で今回の『超能力戦争』に臨みましたが、別に旧劇場版で描かれた情報を知っているからといって感動や面白さが倍増する訳ではないです。
強いて言うなら『超能力戦争』を観る事によって「旧劇場版ってすげぇ作品だったんだな…」と改めて感じる、といった程度でしょうか。
以下、本編の内容にガッツリ触れるのでネタバレを気にされる方は十分に注意してください。
良かった部分
- 小沢さん(23)
- 北條さん
- ゆうちゃみ
小沢さん(23)
実質的に主人公です。
「主演:要潤」の時点で「Gユニットの物語」である事は明らかでしたが、その中心に立つのは小沢さんなので、彼女を中心に物語が進むのは必然ではあります。
相変わらず型破りな毒舌女上司っぷりを遺憾なく発揮しており、彼女の存在あってこそ「あぁ、アギトの世界観に戻ってきたなぁ」と感じさせる懐かしさがありました。
予告の段階だと「流石に老けたかな…」と感じましたが、相変わらずの破天荒っぷりを見ているうちに「当時と変わってねぇな」と掌を返しました。
自認23歳は2001年当時の小沢さん(25)より若くなっちゃってるのよ…(笑)
そして相変わらず氷川への愛情が強い。
「氷川くんがいないと…」と待ち焦がれる姿に、当時の主題歌の一節である「いま君がいないと」を重ねて感慨深いものを感じました。
北條さん
氷川との連携仇討ちは本当に良かったです。
見た目は流石に25年経過相応だと感じましたが、あまりにも声が北條すぎます。声だけ変わらなすぎ。
例の手巻き寿司ネタも「小沢フォト」によって観客席でも笑い声が上がっていたし、終始小沢さんとの夫婦漫才で「当時のアギト」を演出する空気感を醸し出していたと思います。
謎の分身はまぁ…。これに関しては「困惑を上回る破壊力」があったので、私は受け入れられました。
「超能力者の事件現場に立ち会っていた→現場の因子に感染した→北條の超能力が目覚めた」という具合に理屈は通りますし。
「因子に感染しても壊死せずに進化した」は「北條の中にアギトの才能があった」を意味するかと思いますが、これも決して無理な解釈ではないと思いました。
確かに北條は小物キャラではありましたが、TV本編の第9話では氷川以上にG3装着員としてのポテンシャルを発揮している場面もあり、実際に怪人撃破まで達成しています。
総じて「努力型の氷川」と「才能型の北條」といったイメージであり、最終的な実力は氷川が上でしたが「アギトに覚醒する可能性」に関しては北條が優れていたとしても違和感は抱きません。
ゆうちゃみ
”ゆうちゃみ”が個人的にMVPです。序盤こそ「なんか大袈裟な演技だなぁ」と思いましたが、諸々の言動に「当時の小沢さん」を感じさせる妙な懐かしさがありました。
それこそ「警察組織なのに独断で部下と出動」なんて当時の小沢イズムそのものです。
もちろん全く同じ雰囲気ではありませんが「小沢に憧れる令和のギャル警官」を上手く表現しており、懐かしさとオリジナリティが両立した良い塩梅になっていたと思います。
記事冒頭にて「当時のアギトを予め観る必要はない」と書きましたが、ゆうちゃみの評価は「当時の小沢さんを知っているか否か」に左右されるかもしれないです。
彼女が装着するG6は飛べるのね!「真アギト展」にも「飛行用パーツを装着するG3の企画イラスト」が展示されてたような…。
そしてまさかのサプライズ枠!!!なんだあのトリニティは!?
S.I.C.のフィギュアが好きな人は歓喜するデザインじゃないか?カッコ良すぎるだろ。
SNS上だと「アギトへの覚醒が唐突すぎる」「G6のまま戦って欲しかった」といった声も見かけましたが、個人的には全然アリです。
アギト覚醒に関しては北條さん同様に理屈は通っているし、最終決戦に関しても「技術で進化したG7」「人間が進化したトリニティゆうちゃみ」「当時のままのアギト」で良いバランスだったと思います。
悪かった部分
- 翔一くん
- 合成が雑すぎる
- 全体的な世界観
翔一くん
まず「アギトの変身能力を失う」についてはギリギリ許容できます。
まぁ本音を言うと「”進化”をテーマにした作品で退化するのかよ…」という違和感はありますが「氷川を主役にする」を踏まえれば理解はできます。
ただ「変身能力を失った理由付け」はちゃんとやろうよ…。「なんか能力が消える感じがして身体が軽くなっちゃいました⭐︎」は酷いと思う。
当時のアギトって「望んでもない能力が覚醒し、それが原因で命を狙われる」が何度も描かれたじゃないですか。
翔一くんの姉だって超能力が覚醒したが故に自殺に追い込まれたのであり、「能力を手放したいのに手放せない悲惨さ」が印象に残るんですよね。
これをアッサリと理由もなく「なんか能力が消えちゃいました⭐︎」で片付けるのは流石に雑すぎるし、そんな軽いテーマではないと思うんですよね。
- 進化の果てに強くなり過ぎてしまい、周囲に危険が及ぶようになってしまった
- 劇場版ラストの未来予知が現実になり、黒神様に能力を奪われた
とか何かしら言及するだけでも印象は大きく変わったと思います。
特に「周囲への被害を気にして」であればアギトの進化性を損なわないし、氷川を主軸にする理由付けにもなるので良いと思ったんですけどね…。
まともな説明が無いと、ラストの「必殺不発」もG7を活躍させるための御都合主義にしか感じられず、総じて子供騙しでチープな印象に成り下がった要因だと思いました。
合成が雑すぎる問題
まぁCGや合成って膨大な予算を要すると言いますし、多少の粗が出るのは仕方ないと思います。
ただ今回の「G3バイクシーン」は流石に酷すぎるだろ。あんなクオリティで世に放つくらいなら、そもそもバイクシーンなんか撮らなくて良いと思う。
もちろん昔と比べて「公道でバイクシーンを撮影する難易度」が上がっているのは理解できる。でも、それなら「徹底的に違和感の無い合成」をするか「そもそも無理なバイクシーンは撮らない」に振り切るべきだったと思います。
バイクシーンと言ってもモブキャラのシーンだよ?そもそも描写する必要性あった?
そんなシーンをニチアサ以下のクオリティで、下手したらYouTuberよりも下のクオリティでお出しするのは流石に酷いです。怒りより心配が勝ちます。
「Vシネ」ならこのクオリティでもギリ納得できますが、これって要潤を主演にした東映の主力作品だよね?本当に大丈夫か?
全体的な世界観
まずこの作品ってどの層に向けた作品なんでしょうか…?
当時のアギトを履修済みの特オタ向けにしては薄味すぎるし、ライト層に向けにしては「身内ネタ」が多すぎると思うし。
全体的に煮え切らないというか、中途半端な印象が否めないです。
「人間が超能力に覚醒して暴れ出す」というテーマ自体は良いと思うんですよ。
ただ個人的には当時の黒神が言い遺した「人間がアギトを滅ぼすでしょう」を汲んで欲しいとは感じました。
今作に関してはG4世界の延長線である事を前提にすれば黒神発言に目を瞑ることもできますが、それなら「G4との戦闘がトラウマになっている氷川の心情描写」をもっと丁寧に描いてほしかった。
なんか北條から叱咤激励されて唐突にトラウマを乗り越えてましたけど、そんな軽々しいトラウマだったんか…?
G4に関しては小沢さんの「G7制作背景」に触れる形でも織り交ぜる事はできそうですよね。
「死を背負うシステムを設計した過去を悔やんでいるからこそ、生を背負う氷川に相応しいG7システムの開発にこだわった」とかがあれば胸熱だったんですけどね。
それと北條の婚約問題。これちょっと無理があるんじゃないか?年齢差的に。
役者の年齢的には10歳差なのでギリギリ現実でも有り得なくはない年齢差ではあるけど、外見的にも流石に無理矢理な印象を抱きました。
それなら「長年連れ添った妻」として同年代の役者を起用した方が違和感は無かったと思います。
いやまぁベッキーは綺麗だったけどさ、流石にこの年で「不思議な調味料ですね」はちょっとドギツイかなぁ…。
何とも言えない部分
- 木野さん
- 氷川さん
木野さん
恐らく最もファンに叩かれているであろう「木野の扱い」に触れます。
個人的には「叩くほどではない」といった感想です。
まず今作が「TV本編の続編」であるならば、もうそれは盛大にブチギレて良いと思います。あの最期を迎えた彼をこんな扱いにするなんて言語道断です。
ただ今作は「G4世界線」であると推測され、氷川たちと木野の関係性も我々が知っているものとは異なる可能性が高いです。
TV本編での木野さんは「自分だけがアギトであろうとしていた」のに対し、今作の木野さんは「アギトを増やそうとしている」で真逆の内容ですが、これは必ずしも解釈不一致だとは思わないです。
「雪山の遭難で木野の弟が死んだ」まで共通だと仮定すると「”弟を助けられる力が欲しい”を拗らせたのがTV本編の木野」「”弟が死なないほど強ければ良い”を拗らせたのが今作の木野」と考えれば、個人的には腑に落ちます。
最近の例だと『ガヴ』に登場した「酸賀さん」に近いイメージでしょうか。まぁこれも言及されていないので何とも言えないですけど、ひとまず「我々が知っている木野とは別人」と解釈すれば、ある程度は納得できるように感じました。
氷川さん
色々と気になる点はありますが、総合的には良かったと思います。
まずは何より「G7で戦い抜いた」を評価します。「どうせ最終的にG3-Xで戦うんだろ?」と勝手に予想してましたが、良い意味で裏切ってくれました。
銃主体の戦法から剣スタイルに変わり、あろう事か「ライダーキックまで披露」という当時のG3からは考えられない程の変化です。
刑務所に入った経緯も「氷川の不器用さ」が反映されているように感じられ、特に大きな破綻は無かったです。
ただ先述した「G4の一件をどのように引き摺っているのか・どう乗り越えたのか」はもっと上手く描いてほしい。
「生を背負う氷川」と「死を背負う水城」の構図を焼き直せという趣旨ではなく、ちょっとした言い回しを工夫するだけでも良いと思うんですよね。
「進化するか死ぬかで人類を選別する木野」に対して「生を前提とした進化で対抗する氷川」が対抗する印象付けがもう少し鮮明になれば良かったとは感じます。
総合的な感想
総じて「旧劇場版は凄かったんだなぁ」に尽きます。
そりゃ例年のVシネと比べたら、しっかりしてるとは思いますよ。でも比較対象はVシネじゃ無いですよね。
Vシネファイズは「オーズ10thよりマシだった」で許されるんですよ。身内ネタばっかりでも、余程の失態がなければ受け入れられます。
でも今回のはVシネじゃないですよね。枠としては『シン仮面ライダー』に近いですよね。もちろん「シン仮面ライダーの方が良かった」と言いたい訳ではないです。あれもあれでツッコミどころは有りますし。
でも今回の『超能力戦争』は出来の良し悪し以前に「そもそも大衆向けのヒット作を作ろうとする気概が感じられなかった」のが残念でした。(もちろん私個人の主観です)
良くも悪くも「”仮面ライダークロニクル”で提示された作品を全部やるつもりなんだろうな」と感じました。
白倉さんあたりが「一つの大作よりも沢山の凡作を作りたい」みたいな趣旨の発言をしていたかと記憶していますが、まさにそれが現実になっているのかもしれません。
もうちょっと「どの層に向けて制作するのか」はちゃんと考えた方が良いと思う。今回の作品は子供向けでも無いし、ガチファンには物足りないし、ライト層には身内ネタが多すぎるしで中途半端すぎます。良く言い換えれば最大公約数なのかもしれませんけど、私は嫌いです。
本当に要潤もよく出演してくれたよなぁ。
これならいっその事「ゆうちゃみG6と小沢さんをW主人公にして終盤のピンチにパリから駆けつける翔一くん」をVシネで描く方が変な期待も抱かないので良かったと思います。
「要潤を呼ぶ」は役者の知名度もありますけど、それ以上に『G4劇場版』のクオリティが高すぎるんですよ。やはりあの映画を意識してしまうと今作は微妙すぎる。
まぁG7は素直にカッコ良かったし、トリニティも盛り上がったしで悪いことばかりでは決して無かったと思いますけど、総じて「G4劇場版は凄かったんだなぁ」に尽きます。
あんな鬼気迫る泥臭い戦闘シーンなんて、もう2度と見れないのかもしれませんね。


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