遂にガヴもクライマックスへ・・・
ガヴの放送も既に42話を迎えるところであり、物語の展開もクライマックスに突入しています。その一方で倒すべき敵が多く残されていることや「ショウマの過去」について詳細な言及が不足している点から展開が予想し難い部分があります。
駄菓子屋の店主がショウマの叔父であることが判明し、そこを起点にショウマの過去を深掘りするとは思いますが、一体どのような過去があり、どのように未来に繋げていくのかは現時点では予想出来ません。
そんな時にヒントになり得るのが「主題歌」です。例えばウィザードの主題歌では「涙を宝石に変える」という内容がありますが、これは「インフィニティースタイル」の展開そのものですし、オーズ主題歌の「止まらない欲望に正直になれば負けない」という趣旨は最終話冒頭で大量のセルメダルを取り込んだ映司そのものです。
今回の記事ではガヴの主題歌をヒントに今後の展開を予想していきます。
※歌詞をそのまま原文で掲載することは著作権法上の問題になる可能性がありますので、あくまでも歌詞の内容を噛み砕いた趣旨という表現で留めます。
改めてガヴの主題歌の概要
タイトルは『Got Boost?』で早口で読むと「ガヴ」と聴こえるようになっています。流石に意図的だよね?
歌っているのは「FANTASTICS」というLDH系列のグループです。仮面ライダーの主題歌をEXILEの系列が担当するとは随分と時代が進んだ印象です。
私個人が芸能界に疎いのもあって「EXILEはオラオラ系の兄ちゃん」っていう固定観念があったのですが、FANTASTICSさんを見るに昔のLDHとは雰囲気もだいぶ違う印象を受けました。
てかEXILEの『Lovers Again』が18年前ってマジ・・・!?
サビの考察
まず全体的に主人公のショウマをテーマにした曲として解釈して良いでしょう。歌詞の随所にショウマの自分より他者を優先しがちな性格が散りばめられているように感じられますし。
冒頭のサビは「思い出を奪われた過去を2度と繰り返さない」という趣旨でしょう。早速ですが、この部分の解釈が結構難しいんですよね。
例えば絆斗であれば「ライター師匠や母親との想い出」だし、ラキアであれば「弟であるコメルとの想い出」だと明確です。
しかしショウマと幸果さんに関しては正直「戻りたいほどの過去」を読み取れる描写が現状では見当たりません。幸果さんは序盤に登場した「画家の話」で苦々しい過去を匂わせる描写はありましたが、特に具体的な詳細や掘り下げはありませんでした。
ショウマの過去について思い浮かぶのは「母との想い出」ですが、これって「ショウマにとって幸せな時間だったのか」と改めて考えると、どうも腑に落ちないんですよね。ショウマの母は基本的にずっと精神的に追い込まれて泣いており、そんな母に気負いさせないように健気に振る舞っていたのがショウマの幼少期です。実際に描写された「すすり泣く母親に背を向けて子供らしく寝たフリをするショウマ」は、かなり心が痛むシーンです。これを踏まえるとショウマにとって戻りたい瞬間とは少なくとも「幼少期ではない」と個人的に予想しています。
ショウマが「戻りたい瞬間」とは何か。
考えられる選択肢は2つです。一つは「ショウマが人間界に来てから過ごした日々」、もう一つは「ショウマが青年期になるまでに母と過ごした時期」です。
一つ目の「人間界での日々」はまさに王道展開であり、幸果を始めとする「ハピパレ」の面々や序盤に出会った少年や老夫婦と過ごす中で幸せそうにお菓子を頬張る瞬間はかけがえの無い時間だったと言えるでしょう。1年間の集大成とも言える王道展開でクライマックスを迎える・・・と予想したいところですが、この展開は既に「マスターガヴへの初変身」で描いちゃってるんですよね。それを踏まえると流石に同じ展開を繰り返しはしないだろうし・・・。むしろ人間界での幸せな時間は「奪われない未来」という文脈で描かれる雰囲気があり、過去とは絡まない気がします。
では二つ目の「青年期になるまで母と過ごした時間」ですが、やはりこれが最重要となるでしょう。現時点で開示されている情報としては「ショウマと母は雑草を食べて過ごしていた」「ショウマ達が過ごした環境にはお菓子はない」「ショウマは母から人間界のお菓子が美味しいという話を聞いて夢を膨らませていた」「最終的にショウマの目の前で母は殺された」「人間界に逃げてきたショウマは断片的に記憶を失っている」といった内容です。
ここで最も重要になってくるのは「ショウマの断片的な記憶喪失」でしょう。これがどの程度の記憶を失っているのかで今後の展開が大きく変わります。例えば「ショウマの母が死んだ」という描写も「ショウマの誤った記憶」であれば実は母が生存しているという展開にも出来てしまう訳です。個人的に予想している展開は以下のとおりです。
- 断片的に記憶を失っているショウマと駄菓子屋店主(叔父)が改めて対面する。
- 絆斗が「二人は血縁関係にある」という事実を告げる。
- 駄菓子屋がショウマの母について語り出す。
- 駄菓子屋の話をキッカケにショウマが母との記憶を取り戻す。
- 実はショウマと母親はグラニュート界からの脱出を試みていた。
- 脱出の準備をする中でショウマは母から駄菓子屋を始めとする親族について聞いていた。その中にはショウマ母から駄菓子屋である兄に向けてのメッセージやストマック家に関する重要な秘密も含まれていた。
- 真実を知ったショウマは覚悟を決めてラスボスとの最終決戦に挑む
やっぱりショウマ母は何か知ってると思うんですよね。恐らくはストマック家の父について。その秘密が知られては、会社を経営する上でマズイものだからランゴ達に消された、という顛末であれば納得しやすいです。例えばランゴやグロッタの実母に関する秘密とかね・・・。
『ガヴ』という作品は「家族を失った過去の復讐」というテーマが繰り返し描かれていますが、これは味方サイドから敵サイドへの復讐に現時点では焦点が当てられています。しかし隠された秘密によっては遺されたストマック家の誰かがショウマに対して強い復讐を挑む展開も充分にあり得そうです。
現状でもジープが「シータの仇打ち」を切望していますが、正直これだけでは展開として弱いので、もう少し深い掘り下げが欲しいところです。
歌詞最後に登場する「君」とは?
ショウマが誰かのために奔走する様子が読み取れる一連の歌詞ですが、やはり「ショウマの無理してる感」は強く感じます。その最後の締めに「涙」という単語が登場し、ショウマの心が折れそうになる瞬間が想像できます。その時にショウマが「君」という「誰かを必要とする」展開を匂わせるフレーズで曲は終わります。では、この「君」とは誰を指すのでしょうか。
- ハンティー
- ラキアン
- 駄菓子屋
- ショウマ母(ミチル)
- 幸果さん
- ストマック家の皆さん
- まさかのパパ
まず①絆斗に関してはもう無いでしょう。彼はとても良いキャラですが恐らく次回の42話で洗脳から脱却する展開が最後の見せ場となりそうです。流石に万丈ポジは厳しいと思います。
同じ理由で②ラキアも考え難いです。プリンアラモードに進化する際に「復讐を卒業した」展開があまりにも美しかったので、もう描き切った感があります。
③駄菓子屋は重要人物であり、ショウマのメンタル面を補強するキッカケにはなりそうですが、最重要人物というには荷が重すぎます。
④の母は展開次第ではあり得ますが、故人だし、仮に生存していたとしても唐突な印象は否めず、ショウマが最後に必要とする人物としては弱いです。
⑥のストマック家は今後戦う中で本心での会話は描かれそうですが、これはショウマが救われる展開ではなく、復讐に我を忘れた兄弟をショウマが(精神的に)救う展開になりそうなので歌詞とはズレます。
⑦のパパは元凶すぎるのでダメです。どの面下げて出てくんねん。
やっぱり⑤の幸果さんが何かしらのキッカケでショウマの心の壁を取り払う展開が美しいですよね。現状のショウマにとって幸果さんとは「守るべき対象」としての側面が強いです。一方で幸果さんの過去は深く描かれてはいませんが「誰かを元気付けようとして空振りしてしまう」という自信の無さを匂わせる発言がありました。
ショウマと幸果さんは「本当は自信が無いし不安だけど、誰かのために笑顔で元気に振舞う」という点で微妙に似ています。似たもの同士だから「自分自身を後回し」にしがちな相手をお互いに心配しているのかもしれません。だからこそ本当の意味で分かり合える可能性があるわけで、現状の自己犠牲上等で一方通行気味な優しさから、健全で成熟した信頼し合える関係性に進展するシナリオに期待したいです。
まとめ
今回は主題歌の歌詞という角度から、これまでのガヴを振り返りつつ今後の展開を予想してみました。改めて感じるのですが『ガヴ』という作品は登場人物の感情描写が非常に高度で上手いですね。直情的になることもありますが、それ以上に相手の心情を察した上で行動できる登場人物なので安易なライダーバトルに発展しないのも新鮮ですし、見応えがあります。それこそ平成なんてのはコミュ障で拗らせた迷惑なやつが大半ですから・・・。
まだまだ描くことの多そうな『ガヴ』であり、今後の展開予想も難しいですが来る最終局面に向けて楽しみにしておきましょう。
コメント
管理人さん
おつかれさまです。
藤林さんの歌詞が脚本のコアな部分を表しているのはよく言われていますね。
今回の記事も管理人さんらしい読みごたえのある考察でした。
たしかに「戻りたい瞬間」という割にショーマの過去がそれに該当し難いような内容なのは気になります。現段階で主人公側はほとんどエピソードも消化しきったように感じるので、これから失われた記憶にフォーカスが当たっていく展開になるのでしょうか。
次回作ゼッツが9月の初週からだとすると、明日(7月13日)の放送を含めてあと8話あるので、丁寧に描写するだけの時間はありそうですね。寄り道展開に時間が使われないことを祈っています。
「君」が誰かについては私の私見ですが
⑧ショーマ自身
⑨主題歌を聞き、ショウマに感情移入する視聴者の少年
の可能性もあり、「必要」とされるのは「涙」を降らせそうな誰か前にいる「ショウマ」ないし「視聴者の君」だよと歌っているのかと考えました。
管理人さんのおっしゃるとおり、ショウマが誰かのために奔走する様子が全体として読み取れます。そこに「少しだけでも笑顔を飾ろうと」や「自分事には鈍感 後回し気味」など少し陰のあるショウマの性格が良く表れています。
そんなフォーゼの弦太朗のような底抜けの明るさではなく、少し闇を抱えたショウマだからこそ、彼がヒーローであるためには「君が必要」という言葉が必要であり、「必要とされること」を「必要」としている親近感のあるヒーローがショウマなのかなと思っています。
ただ、私の解釈だとショウマが自分が必要とされていることを実感し、自信をもって自分は必要とされていると主張する展開はランゴ戦で終わっているので、最終盤を予想することができません。
幸果さんとの関係性が最終盤で回収されるというのはやはり美しいですし、二人の関係性のバランスが若干偏っているのはおっしゃる通りだなと思いました。今までのライダー作品では変身する側がより負担を負うの当たり前な感じがしますが、そこに違和感を感じることができるのはハピパレでの協力関係の対等さが丁寧に描かれてきたらからだと感じています。
私の解釈は36話までのショウマに対してなので、36話までの幸果さんを始めとした人間界の人々に必要とされるショウマが、管理人さんのおっしゃる通り、幸果さんに「君が必要」と素直に言い、必要性を逆転させる展開は非常に美しいと思います。自己肯定感がやや低めだったショウマには、必要とされることより、人に必要と言うことの方が難しいのかもしれませんね。
駄文長文失礼しました。
いつもブログを拝見し、応援しています。
ハートの2さん
素晴らしい考察ですね!
視聴者との双方向性から「ヒーローと憧れる視聴者」として「君が必要」に繋がるのは説得力があります。
ただ一方で仰るように、ヒーローとしてのショウマは「マスターガヴ覚醒」時に描いてしまった感はあり、逆に現在は「ヒーローであることにしか自身の存在価値を見出せない状態」なのかなと思ったりします。
そんなショウマに対して絆斗が「お前は大丈夫なのかよ」と尋ねるシーンがありますが、ショウマは「今はそれどころじゃない」という趣旨の回答をしており、少なくとも現段階でショウマの精神性が健全ではないことを示す意味があるのかと推測しています。
これを踏まえると「ヒーローとして」とは別ベクトルのアプローチで自尊心を満たす展開が必要で、その候補としては家族or幸果を中心とした仲間になるだろう、といった予想をしています。
ただ「仲間」とは言っても絆斗やラキアは綺麗に描き切った感があり、一方で幸果の掘り下げが手薄なことを踏まえるとショウマ×幸果で終盤はいくんじゃないかな…?
ゼッツも発表されて、ガヴも残り僅かですから激動の展開になりそうですね!楽しみにしておきましょう!