主に描かれたこと
- 駄菓子屋に真実を伝えるべきか葛藤するショウマ
- ビターガヴとして戦闘力を高めるジープ
- 赤ガヴに固執するニエルブ
- 大統領とリゼルが人間界を視察、街を破壊
流石にショウマが可哀想すぎる?
駄菓子屋の店主(本人は気付いてないがショウマの叔父)は未だ妹のミチル(ショウマの母)が死んでいることを知りません。現在もミチルが生きている可能性を信じており、「グラニュートが人間を襲う」という内容を記した絆斗の記事をキッカケに妹を探そうと必死になります。絆斗に対し「情報を教えてくれ」と懇願する駄菓子屋を眼の当たりにしたショウマは何も言うことが出来ません。
絆斗と二人きりになったショウマは改めて「真実を伝えるべきか」と絆斗に問います。過去にショウマは「絆斗の母が既に死んでいる」という真実を打ち明けたことで、彼との関係性が崩れてしまい、お菓子を食べても幸福を感じられないほどに精神が追い詰められてしまいました。「真実を伝えることで誰かを傷つける」経験がショウマにとってトラウマになっているのかもしれません。
それを踏まえて絆斗は「今では真実を知れて良かったと思っている」と返答します。ここで敢えて「真実を伝えるべきだ」と表現しない辺りが「ショウマへの配慮」と読み取れ、非常に高度な会話であると感じました。これによりショウマは真実を伝えるべく、駄菓子屋に向かいます。
それでも駄菓子屋の店主を見ると踏み出せないショウマ。まずはいつも通り、お菓子の試食をさせてもらいます。その姿を見た駄菓子屋は「妹そっくりだ」という趣旨の発言をします。これを受けてショウマは決心し、駄菓子屋に問います。「たとえ辛い内容でも真実を知りたいか?」という問いに対して、駄菓子屋は「辛い真実を知る勇気がない」「それでも妹は生還するはずだ」と答えます。
駄菓子屋は脱サラしてまで妹の愛する駄菓子屋を引き継ぎ、彼女の生還を切望しています。そんな彼にとって妹の死は20年分の人生を否定する内容になり得ます。更に駄菓子屋は妹が殺される状況を「惨い」と表現しましたが、現実は異種強姦の上で20年も軟禁されて雑草を食べる地獄のような時間を過ごしたのであり、駄菓子屋からしたら悲惨どころの話ではありません。
そして「妹の悲惨な末路の象徴」こそがショウマの存在であり、彼の出自を含めた真実そのものが肉親である駄菓子屋を深く傷つけてしまうことになります。元よりショウマは自身の出自に複雑な感情を抱いており、絆斗に対して「家族を探すのが怖い」という発言をしたのも予めこうなることが予測できていたからではないでしょうか。
自分自身の存在自体が否定される主人公としては『アマゾンズ2』が思い浮かびますが、あちらは自身の正体が明かになるに連れて絶望していったのに対し、ショウマは「最初から自尊心がドン底」という違いがあるでしょう。ニチアサとしてハッピーエンドを迎えるには、如何にショウマの自尊心が成長するか、という展開になりそうです。
手を組むべきは赤ガヴか・・・
ビターガヴに変身して実験的に眷属と戦うジープと、そのデータを収集するニエルブ。ジープの戦闘力は確実に成長しているようですが、ニエルブは少し不満な表情を浮かべます。そして今回ラストでビターガヴとガヴを見比べて「手を組むべきは赤ガヴか」という発言を残しています。
これが何を意図するのかが本当に難しい!素直に受け取れば「赤ガヴを利用して誰かを倒そうとする展開」が予想できるのですが、そう単純なものでしょうか。確かにニエルブは大統領に対して不満な様子ではありますが、倒そうとするほどの強い動機は現状では見えません。もちろんランゴやグロッタを失ったことで実は深く悲しんでいる可能性もありはしますが。ラスボス化の可能性も一応はあるのかな・・・。
今後の展開
- 駄菓子屋に真実を伝えるのは一旦保留したけど、時間の問題?
- ランゴの動向→大統領への復讐があるか?
- ニエルブが赤ガヴにどう向き合うのか
- 劇場版との関連性!?
- ストマック家の真実
- 第1話で登場した少年が再登場
駄菓子屋と母の話は保留されましたが、ショウマが「現時点では」と付け足したことも踏まえると流石に今後の進展は間違いないでしょう。テーマが重いだけに『ガヴ』の根幹になり得る要素ですから、最終話あたりまで引っ張るのかもしれません。
そして次回予告では、まさかの劇場版キャラが登場ということで全くの想定外でした。本当に尺足りるのかよ⁉︎と心配になりますが「本編との劇場版の関係性」が示唆されており、ストマック家の真実が明らかになるともされているので、展開として大きく動くかもしれません。
ラスボス予想(43話時点)
- ジープ
可能性としては中程度でしょうか。今後の強化も一応は示唆されていますし。個人的にジープの変身ポーズや目の光る描写から、明確に「ショウマとの対照」を意識している印象があるので「仲間に囲まれたショウマ」VS「全てを失った・拒絶されたジープ」の構図は美しくはあります。- →第43話では着実に戦闘力が成長している描写がありましたが明確に赤ガヴには劣るようです。そんなことも知らずに強くなっている事を純粋に喜ぶジープ。少なくともニエルブがジープをどこかで見捨てる展開はありそうで、それを機に更にコンプレックスを拗らせることになりそうです。
- 下剋上の如く、他の怪人を見返した上で「ジープにとってのラスボスとして」ショウマが存在するという展開は非常に面白そうです。ショウマとジープの対立は「お互いがお互いにとってのラスボス」という構図になりますから、やはりシナリオとして美しいです。
- ランゴ
- やはり最有力候補です。井上みちるを起点にショウマの家族に関する掘り下げと並行してランゴが想うストマック家という家族についても描れそうです。そもそもランゴが何故ストマック社に拘るのか。その背景に強い家族愛があるのであれば、ショウマとの対比としてはバッチリです。
ここで復活したということは塚本高史さんのスケジュールも抑えてるだろうし、よっぽどのことがなければラスボス確定でしょう。 - →第43話でも活躍は無し!ただ大統領が人間界に登場したのと「大統領選挙が近い」という発言から、そろそろランゴも大きな動きを見せそうです。
- 大統領
- 第43話で人間界に視察としてやって来ましたが、このタイミングで「ランゴが潜伏する人間界」に来る展開は非常に「死亡フラグ」がビンビンに立っている印象です。やはりランゴに殺されるんじゃないかな。
- リゼル
第41話でジープとの関係性が少し進展したように感じます。リゼルの歪んだ感性については是非とも描いて欲しく、描き方によってはラスボスとしての格も十分にあるでしょう。ただ一方でリゼルがジープにとって徐々に大切な存在になりつつある雰囲気もあります。ジープは大切な存在を失う事で悲壮で魅力も増すキャラクターなので、最終的にはジープに愛情を伝えて先立つといった展開も見応えがありそうです。→第42話では特に動きがありませんでした。次回で人間界に登場しますが、大統領が殺されることはあってもリゼルまで同時に殺される展開は流石に無いんじゃないでしょうか。父親が目の前で殺されたと仮定して、リゼルは悲しむのか、それとも平然としているのかは気になるところです。それこそ「家族を失って復讐に燃える主要人物達」の中で唯一、「家族に関心を持たない人物」として描くのであれば非常に印象的なキャラクターになりそうです。その上でジープにだけ何かしらの強い愛情を抱くという展開であればリゼルの人格に重厚感が出そうです。- →43話で父親との会話が描写されましたが、やはり考え方等は相性が悪い様子で、父親に対する「家族愛」というよりは「権力者」として利用している雰囲気があります。一応は馴れ馴れしく「パパ」と呼んではいますが、あくまでも権力者に取り入る手段としての振る舞いに感じます。
- ニエルブ
第42話で大きく活躍しました。先述の通り「コンプレックス」という側面はしっかりと描かれそうです。今回で怪人体が登場し結構マッシブなデザインで意外でした。「やはり赤ガヴか・・・」という発言を残して立ち去りましたが、今後更なる活躍がありそうです。最期は「ニエルブ自身がビターガヴになる」という展開もあり得そうです。何となくですが「完全な赤ガヴ」と「不完全なビターガヴ」という関係性から「僕はどうしても赤ガヴになれなかった・・・」という末路が綺麗だなと感じています。- →ちょっとラスボス化の雰囲気を感じさせてきたかも?
- やはり「赤ガヴと手を組む」を実行するのであれば暫くは退場しなさそうではあります。仮にニエルブのラスボスルートを想像するなら以下のような感じでしょうか。
- ショウマと手を組んで大統領撃破を目論む。
- 復活したランゴも上手く利用し、ショウマと協力させて大統領を撃破。
- ショウマの戦闘データを収集し、赤ガヴかそれに匹敵するベルトを開発。
- 自身が変身し、ランゴやジープを用済みとして抹殺する。
- 力に溺れた存在としてラスボスになる
赤ガヴのデータ収集から何かしらの強化はありそうですが、それだけでラスボス化は断言できませんね。それこそ赤ガヴのデータを活用してジープの黒ガヴを更に強化する路線もあり得ます。非常に難しいところですが、相対的なラスボス化の可能性はランゴやジープに現状は劣るでしょう。
- ショウマの父
- 「駄菓子屋の店主がショウマの父であり、そのままラスボスになるのではないか」と予想していましたが41話の展開やランゴ復活を考えると可能性は低そうですね。ショウマの父はあくまでもランゴの回想にて、彼をラスボスとして魅力的なキャラに印象付けるための描写に留まりそうです。以前として死因不明なのは気になりますが・・・。
まとめ
やっぱりショウマと駄菓子屋の展開は辛いし非常に残酷です。生まれたこと自体が罪とか溶源性細胞かよ。過去の作品を見ても「怪人が現れたことを伝える電話」がこんなに有難く描写されることなんてありましたかね(笑)。
ラスボス予想も非常に甲乙付け難いほどに敵が魅力的なのですが、個人的にはランゴかジープの可能性が最も高いと考えています。時点で「家族愛」というテーマに沿うならリゼルもありかな。
そんな中で次回は劇場版と繋がる話になるようです。しかもストマック家の秘密、第1話の少年が再登場、サブタイトルが『まぶしくて戻らない瞬間』とは情報量が非常に多いです。劇場版と本編には繋がりがあるようで、これが「カイエスの出自がストマック家に関係する」ものであるのか、「タオリンの正体が第1話の少年が成長した姿」という繋がりになるのかは分かりません。
いずれにしても劇場版も含めた物語全体に深みを出そうとしてくれるのは嬉しいことであり、平成屈指の神作品とされる『ダブル』に近い雰囲気も出てきましたから非常に期待です!
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