ネタバレ注意!!
この記事は『劇場版 仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』の感想記事です。個人的な感想と考察を主とした内容に努めますが、映画本編のネタバレになる内容も含まれます。素晴らしい作品でしたので、是非映画を鑑賞した上で記事も読んでいただけると幸いです。
結構、考察の余地があるかも
今回の映画は「異世界における番外編」という事でクライマックスを迎えるテレビ本編とは全く関連性のない話だろうと思い、正直あまり期待していませんでした。しかしながら想像以上にショウマの心情を察せる場面が多く、結果的に異世界モノにした意義を感じさせる内容で納得がいきました。
ショウマの抱える孤独
テレビ本編でも他人本位で自分自身を後回しにしがちなショウマですが、これは所々で周囲が心配していたり、ショウマ自身が無理をしているような描写が見受けられるため、終盤における重大なテーマになるかと思います。
とりわけ駄菓子屋「ひまわり」の店主とのやり取りでは露骨にショウマ自身の自尊心の低さを感じさせる描写がありました。加えてOP曲の歌詞を踏まえてもやはりショウマのメンタルは触れる事になるでしょう。
そして今回の映画でショウマは異世界に飛びます。異世界には闇菓子は存在しておらず、ストマック家も絆斗もラキアもテレビ本編で味わった絶望的な体験をしていません。みんな幸せそうに生活しています。
加えてショウマの母も生存しています。そもそもストマック家に拉致されておらず、普通に人間の娘を育てるパティシエとして登場します。これら平和な光景は「闇菓子が存在しない故」でありますが、ショウマは「俺がいない世界」だから平和なんだというニュアンスの解釈をしているような描写があったと思います。
ショウマの母と娘の会話を遮るようにお菓子の会計を頼むショウマは若干辛いものを感じさせました。やっぱり自分自身の存在を悲劇の象徴として捉えているから自尊心が低いんだろうな。自分の存在が見知らぬ娘に置き換わったことで母が幸せそうにしている事が内心辛かったのではないかと思いました。
ショウマと似た境遇の存在
映画限定ゲストキャラの「タオリン」ですが、これまた非常に悲惨な存在でした。ビターガヴのもっとエゲツないVer、『アマゾンズ最後の審判』の養殖施設に近い狂気を感じました。まぁこの辺の詳細は劇場で観ればわかる事なので特段語る必要はないかと思います。
人間ではないタオリンは自らの存在に葛藤しています。何者でもないという意味ではショウマと全く同じかもしれません。その葛藤は特殊な境遇でしか味わえるものではないため、自分自身にしか理解出来ず孤独を抱えていたようです。
そこに正真正銘の自分自身と言って過言ではない存在に初めて出会うことになるのです。タオリンはもちろん、ショウマもテレビ本編では見せないような積極性のある心情開示があったように見えました。絆斗達との関係性も素晴らしいですが「遠慮しがちなショウマ」が積極的に見えたのは同類である存在が相手だからこそに見えました。
本編終盤のショウマの激昂ぶりも卑劣過ぎる悪行に対するものではありそうですが、同時に本当の意味で本心を明かせる相手だったからという側面もありそうです。
ゴチゾウってさ・・・
ゴチゾウはショウマが「お菓子を食べた幸福感で誕生する」という設定ですが、今回の映画で「幸福に限定されない感情の昂り」によるものだということが判明しました。つまり極限の恐怖や怒りによってもゴチゾウは誕生するという事です。これは本編にも関わる可能性があるかもしれません。
救われなかった存在
基本的にはハッピーエンドで終わりましたが、一部の登場人物はややビターな終わり方をしています。まずショウマは母と娘を見届けるシーンが何とも切なかったです。ただし一時的ではあったものの理解者に出会えたことや仲間たちと帰還出来た点はまだ救いはあるでしょう。
異世界の幸果さんはちょっと可哀想でした。形見は残ったけど結局は一人な訳で。そんな幸果さんを媒介にしてショウマ達は元の世界に帰ってしまいます。元の世界の幸果さんは仲間に囲まれていますが、異世界の幸果さんはその後が描かれていません。
闇菓子が存在しない世界線ではほぼ全ての登場人物が幸せに過ごしていますが、その例外的な位置付けとして幸果さんを曇らせて終わったのだと仮定すると、やはり幸果さんの心情もテレビ終盤のテーマになってきそうな感じはします。
劇場版限定フォーム
活躍等は劇場版を観れば良いと思うので語りませんが、見た目について個人的に感じるのは「ガヴとビターガヴの融合」です。目元がビターガブに近い印象を受けます。これは異世界におけるタオリンが「ショウマのもう一つの可能性」であり、これを現実世界に置き換えるとビターガヴが当てはまる存在だから、ということでしょうか。まぁ素直にカッコいいと思いました。
まとめ
内容としては非常に充実していてまだまだ語りきれない程に盛り沢山でした。ガヴには魅力的なキャラクターが多数登場しますが、ほぼ全員の株を上げる作品だったと思います。
今回はテレビ本編に関連する可能性がありそうな箇所について何点かピックアップして考察しましたが、全く関係がなかったとしても普通に楽しめる作品だと感じました。基本的には王道展開ですが節々の心情描写が丁寧な点は『ガヴ』という作品の良さを活かせてる印象で個人的には大満足です。ゴチゾウも可愛いしオススメです!!
あと全然関係ないんですけど、今って結構女性のライダーファンも多いんですね!私は今回久しぶりに現行ライダー映画に足を運びましたが、劇場の半数は女性で特に子供連れでもありませんでした。性別や年齢に関係なく仮面ライダーが愛されているのは非常に喜ばしい事です!
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