主に描かれたこと
- ランゴが社長に返り咲く
- リゼルが父の死を知る
- 駄菓子屋店主がライダーの正体を知る
- 人間を洗脳する毒素に対する中和剤の散布に成功
- 絆斗とラキアがストマック社の工場を破壊
残された課題
今回の第49話では派手な戦闘こそ少なめでしたが、物語を締め括るにあたって解決すべき問題を淡々と消化していったな、というのが率直な感想です。
人間の判断能力を奪う毒素が街中に蔓延し大量の人間が拉致殺害される状況下にありましたが、これは中和剤の散布でアッサリと解決しました。駄菓子屋がライダーの正体を知る展開も同じ流れで消化され、残り僅かな尺の中で物語を畳みに来ているなと感じます。
ただし放置された問題も多くあり、
- 駄菓子屋はショウマが自身の甥っ子だと知らない
- リゼルの人物的な掘り下げが不十分、醜さを好む理由付けが特にない
- ジープが亡きシータと折り合いをつけられるのか
- 闇菓子は撲滅するにしてもグラニュート世界をどうするのか
- ランゴが父であるブーシュを殺害した詳細な動機
と思いつくだけでもボリュームがあり、これを次回で全て消化できるのか…?という不安は正直あります。
特に①と②はスルーされる可能性もありそうな雰囲気です。少なくとも次回予告を見る限りでは「ラキアの最期を匂わせる」「ショウマVSランゴ」「絆斗VSジープ&リゼル」という重大案件が山盛りであり、そんな余裕はなさそうだなという印象を受けます。でも①は触れなきゃいけないテーマだと思うんですけどねぇ…。
③~⑤に関しても尺的な都合で軽く言及する程度に留まりそうな気がしますが綺麗に消化できるんですかね?「Vシネ」を前提とした構成になるのか。正直まったく先の展開が読めないです。
ラキアはどうなるのか
ラキアが死亡フラグを立てまくっています。そんな露骨に死にそうな雰囲気を出さないでくれよ…。私は「デンテおじさんの遺言」を受けて「冷静な状況整理で仲間を牽引するラキア」が大好きなんですよ。
復讐心に囚われていた過去も、復讐を卒業した現在も「常に誰かの兄貴分」なんですよね。人間も怪人も分け隔てなく面倒見の良いラキアが「俺はグラニュートで人間とは違う」と言って自己犠牲的になってしまうのは切ないです。
ただ流石にラキアは死なないと個人的には思います。もう人間界に戻って来ない可能性はありますが、彼にとってのグラニュート世界は「弟と過ごした故郷」でもある訳で、寂しさはありつつも悲惨な展開にはならない気がします。
そして今回明らかになった「ニエルブによってショウマがグラニュート世界への扉を開けられるようになった」が伏線で、孤独になったラキアとショウマ達が再会できる可能性も残されてはいます。
まさか誰にも看取られずにストマック社と心中は流石にないと思います(願望)。
ラスボスは全員?
第49話時点まで残ったランゴ、ジープ、リゼルの3人でしたが「ショウマVSランゴ」「絆斗VSジープ&リゼル」を同時進行で描くようです。これは全く予想できませんでした。味方側の3ライダーがそれぞれの場所で決着をつける展開は『劇場版アギト』を彷彿させますね。
やっぱりガヴは『アギト』リスペクトが全体的に強い気がします。浜辺で倒れていた冒頭の主人公、人間として戦うライダー、人外としての側面が強調されるライダーを主軸にした作風で、主要人物が多過ぎないからこそ丁寧な描写が続いたんだと思います。
基本的には『アギト』意識、そこに『キバ』『アマゾンズ』の要素を加えた感じでしょうか。
それぞれのラスボスについて
ランゴ
ニエルブやグロッタ、シータ、ジープが何かしらの形で「家族愛」を感じさせる場面があったのに対して、ランゴに関しては「闇菓子」への執着しか見えません。
これが現状では「ランゴがキャラとして薄い」と感じる要因ですが、一方で「ブーシュ殺害」に関しては掘り下げる余地が残されています。ブーシュを「無能な父親」と表現したランゴですが、やはりここに何かしらの仕掛けがあると考えます。
49話でショウマが「人間を幸せにするお菓子の力」と発言しており闇菓子との対比は強く意識した内容になりそうです。以前の考察でも触れましたが「ブーシュの真意をランゴが知る」展開の上で「ランゴが誰かを幸せにする菓子の味を知る」最期を描くのであれば美しくはあります。
個人的にやめて欲しいのはランゴを「権力にしか興味がない純粋な悪人」として描く事です。これをやられちゃうと既に亡くなった他のストマック家が可哀想すぎます。劇場版におけるランゴは「家族愛」を持っていましたし、今更それらを無に返す展開は避けて欲しいところです。
ジープ
赤ガヴと戦わないんですね。しかもリゼルとセットですか。個人的に「ケーキングとの決戦or共闘」で令和版タジャドル展開を望んでいたので、思った以上に平凡な末路になりそうだなと感じます。
シータへの気持ちはどうなるんでしょうかね。どうも個人的に「シータの死を受け入れてリゼルと一緒に先に進む」精神状態には見えないんですよね。でもリゼルに情が芽生えているのも事実だろうし。
綺麗にシータとリゼルへの気持ちを両立させるなら「かつてのシータのように、リゼルを庇って死ぬ」になるんでしょうか。愛する者のために犠牲になる行為は「愛する者(リゼル)ができた」と「自分がシータに愛されていた」を同時に意味しますから、仮にジープを殺すのであればアリではないでしょうか。
リゼル
本命だったんだけどなぁ~。
- 「ジープをランゴに取られた」という怒りからランゴを殺す。
- 「もう一度ジープを独占する」ためにストマック社ごと「闇菓子事業を手中に収める」
- 「私のモノに戻ればもう一度闇菓子を作れるわ」とジープを勧誘。
- ジープは家族が好きだったのであって闇菓子は手段に過ぎない事を自覚する。
- 人間を守りたいショウマと、真の意味で会社を再興したいジープが手を組む。
- リゼルとの最終決戦へ。
という展開を予想し、その気になっていた私の姿はお笑いだったぜ。
うーん、リゼルに関してはどう足掻いても消化不良になる気がするんですよねぇ。父親の死を嘆くのも普通だし「家族愛に興味がない」唯一の存在として描くために登場したのだと解釈していたので、全体的に私の想定とは違う動きになりそうです。
「リゼルの人物像」はそれほど重要ではなく、そもそも「ジープの心情を描く上での材料」に過ぎなかったのかもしれませんね。
ジープと共に絆斗と決戦になりますが、どんなモチベーションで戦うんでしょうかね。父親を殺された復讐心を絆斗にぶつけるのは流石に違和感があるし。
そもそもジープに関しても闇菓子に執着する理由としては弱いですよね。最終盤にもなって「ランゴに認められたいだけ」では薄っぺらい印象を受けそうです。
2人とも死ぬか、片割れが死ぬのか、または2人とも生存するのか、次回予告を見る限りでは予想が難しいです。Vシネを前提とするなら生存なんですかね…?
まとめ
なんだか前回から今回にかけて一気に「平凡化」した印象が個人的に否めないです。良く言えば「王道展開」でもありますが、作品として『ガヴ』の魅力は「尖った展開や描写」にあったと感じているので、少し期待した内容とのギャップがあります。
決して批判する訳ではないですし非常に好きな作風ではあるのですが、ここまで積み上げてきた素材が最高峰なだけに勿体無いと感じています。「最高級の材料で丁寧に作り上げたケーキを箸で食べる」ような気分です。美味しいのは間違いないけどさ。
とは言っても来週は遂に最終回!素晴らしい作品の集大成として、誰にも予想できないような展開が待っているかもしれません!キャラ達への愛着も芽生えるだけに寂しくもありますが、最後まで楽しみです!
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