仮面ライダー滅(スティングスコーピオン)の戦闘力

戦闘力

総合戦闘力 

スペック


スティングスコーピオン
パンチの威力13.5t
キック威力32.7t
ジャンプの高さ15.5m
100m走のタイム3.5秒

引用:テレビ朝日公式

基本情報

 『仮面ライダーゼロワン』に登場する5人目の主要ライダーであり、本編におけるラスボスを務めたキャラクターです。変身者はAiロボットであり、人類を滅ぼす事を目的に行動しており「ダークライダー」として印象付けられる存在でした。

 物語全編を通して「人類滅亡」を掲げていた彼ですが、その動機には変遷が見られます。物語序盤~終盤までは一貫して「管理Aiの命令を遂行」することが動機であり、彼自身の意思を反映した状態ではありませんでした。

 分かりやすくいうと「カルト宗教にハマった人」の様子に近いものがあり、強制的な洗脳とは違った性質です。加えて当初は同胞であったロボット達が自我を認識し「自分の意思で生きる道」を模索しようと試みたため、対照的に信仰精神が強い「滅」のキャラが際立っていた印象です。

 しかし彼が信仰した管理Aiは「自身の同胞の抹殺」を指示します。彼にとっての同胞とは「家族も同然」な存在であり、最終盤にてようやく「命令より自我を優先する」という結論に達し、管理Aiを撃破します。

 彼を支配していた「悪意を司るAi」が消失した事により『ゼロワン』における「人類とAiの対立」は終結し万事解決かと思われましたが…。

 ここで滅は改めて「人類を滅ぼす」と宣言します。自身を支配してきた「悪意のAi」は人類にとってもAiにとっても敵である。しかし、それを生み出したのは人間であり「人類を滅ぼせば悪意も消えてAiが平和に暮らせる」という理屈です。まぁ間違ってはいない。

 そこにはダークライダーでありながらも「悪意を絶つ」という彼なりの正義があり、従来の支配に依らない「自らの意思として」再び人類滅亡を掲げます。しかしそれは同時に「心を持つこと」も意味し「人類を滅ぼすという正義感すらも人類から学んだ心あってのもの」という矛盾に激しく動揺し、これを指摘した本作ヒロインを殺害します。

 これが主人公を闇堕ちさせる要因となり、主人公vs滅の構図は「闇堕ちvs歪んだ正義」というものになります。戦いが激化する中で滅を庇った「息子」が死亡したことで、彼もまた闇堕ち。「闇堕ちvs闇堕ち」という衝撃の構図で最終話を迎えます。

 最終的には一騎討ちの中で「お互いに闇堕ちを脱していく」展開となりましたが、心情描写がフンワリ気味だった主人公に対して、滅は丁寧に描写されていた印象を受けました。「家族とも言える同胞を守りたいのは人間もAiも同じではないか」「悪意は人間にしか存在しないのか」という問いに悩んだ末に「世に蔓延る悪意そのものに立ち向かう」戦士として再起したのは綺麗な落とし所だったと思います。

滅はネット社会の象徴?

 個人的に特に印象的なのが「偏ったデータを学ぶことの恐ろしさ」を指摘されたシーンです。まさに滅は「人間の悪い部分ばかり」を学んだ存在であり、人間の良い部分を受け入れたのはゼロワンとの死闘の末でした。

 これは現実社会にも良くあることだと思っていて、例えば「Twitterの男女争い」ばかりを見ていると潜在的に異性に対して疑心暗鬼になりがちです。筆者自身も普段は無自覚ですが、たまに「性善説的に接してくる異性」と話すとビックリしてしまう事があります。

 それこそ素直に考えれば「道徳」を普及する日本においては決して珍しいことではないはずですが、普段からネットの世界に閉じ籠っていると「無意識に悪い先入観を抱く」事があるのだと感じます。

 それがエスカレートすると「本当は善の存在も認識しているのに」「自身にも善性があるのに」悪意を前提とした価値観で生きることが当然になり、このスケールが大きくなるに連れて「戦争」に近づくのだと思います。

 無自覚に植え付けられた価値観が、身近にいる大切な存在を蔑ろにしたり、他者に攻撃的になってしまう事は日常に溢れかえった現象であり、それに最も苦しむのは自分自身である、という事実を体現したのが「滅」のキャラではないかと個人的に捉えています。

強さ解説

 最序盤で登場した基本フォームでありながら、その姿のみで終盤までの激しいインフレに追いつく玄人的な存在です。もっとも基礎スペック自体は他ライダーの基本フォームと同水準であり、ライダーとしての能力が圧倒的という訳ではありません。

 ヤバイのは変身者の方で、彼はAiロボットですから「成長速度が凄まじい」という特性を持っています。『ゼロワン』には他にもAiが変身するライダーが登場しましたが、彼ほど「管理Ai」に熱狂していた訳ではなく「アップデートの頻度」が滅だけ異常に高かったというイメージでしょうか。

 管理Aiはインフレする他ライダーの戦闘力も認識しますから「それを踏まえた対策等のアップデートを授けていた」と考えると自然です。なんたってスペック差が3倍近くある敵と互角以上に戦い、場合によっては勝利までしますからトンデモない実績です。

 加えて機械との戦闘においては、触手のようなものを突き刺すことで「ハッキング」が可能です。これは単純に怪人化させて自身の手駒にするだけでなく「無自覚に情報を漏洩させるプログラムを仕込む」といった高度な応用も可能です。

 ライダーとしての性能は他ライダーと比べると地味ではありますが「雑に強い弓」を装備していたり、サソリの毒針を触手のような要領で伸ばした貫通攻撃が可能であったりと、豊富とは言えないまでも殺意が高いものを取り揃えています。

 登場タイミングによって強さが大きくブレるので一概に戦闘力を推し量るのは非常に難しい存在ではありますが、少なくとも「弱い」という事は絶対になく、基本フォームながらに活躍した実力者と言えるでしょう。

うっかり変身した場合の戦闘マニュアル

・敵は一般的な怪人(シリーズ序盤の敵くらいの強さ)で、変身した時点で対峙している想定。

  1. 弓で威嚇射撃。
  2. 敵の隙を突いて毒針を刺す。
  3. 毒に苦しむ敵に弓を撃ちながら接近。
  4. 毒針の触手で敵を拘束。
  5. 必殺キックでトドメを刺す。

①は弓矢に敵の注意を集中させるのが目的です。命中率よりも射撃回数を重視します。弓の対処で必死になっている敵に毒を注入できれば殆ど勝ちです。ちなみに毒素は人間はもちろん機械に対しても有効性が確認されていますので非常に優秀です。

有利な敵

仮面ライダービースト

 怪人を倒した際に発生する「魔力」を吸収することでエネルギー消費を補うライダーです。魔力を吸収出来ないと自身の契約モンスターに殺される契約となっています。滅が扱う毒攻撃には「ドルフィン」の回復能力で対処できますが、こちらは非常にエネルギー消費も激しい技です。

  1. 滅が初手で毒攻撃
  2. ビースト回復、エネルギー消耗
  3. 滅が大量のロボット怪人を生成
  4. ビーストは迎え撃つも魔力を吸収出来ない
  5. ビーストが蟹刑事になる

といった勝ち方が狙えるでしょうか。

仮面ライダー王蛇

 同じく紫のダークライダーです。滅がサソリで王蛇がヘビなので毒属性という点でも共通します。滅は基本的に安定した戦闘力を発揮しますが「自身の行動が正しいのか」という点を自問自答するキッカケが生じると戦意を喪失する場面が目立ちます。

 その一方で王蛇は「悪そのもの」とも言える凶悪犯罪者であり、加えて脱獄犯でもありますから、少なくともコイツとの戦闘時に「人類悪への疑問」が生じる余地はないでしょう。ただし王蛇くらい突き抜けると「アークが想定する悪意」を上回る悪意を見せつけて来そうで、別の恐ろしさがあるかもしれませんが。

不利な敵

仮面ライダーダークキバ(音也)

 滅が自身の正義について自問自答するキッカケは自身に芽生えた「父としての感情」です。同じくダークライダーであり、ダラシない存在でありながらも「父親としての意地」を魅せつけた音也は、滅を諭す意味では最も適任と言えると思います。

 滅の本質的な問題は「父としての愛情を素直に認められない」シャイな側面を拗らせてしまった部分にあると考えられるため、プレイボーイで感情に素直な音也は、他の父親ライダーと比べても特に影響を与えやすい存在ではないでしょうか。

仮面ライダーローグ

 基本フォームでありながら終盤までインフレに対抗するクッソ有能なライダーです。こちらも紫色の光堕ちライダーであり、滅との共通点は多い存在です。

 ただしローグはラストバトルまで基本フォームで挑み「敗北こそしたが成果は出した」のに対して、滅は「最終話にして強化フォームに頼った」という差があり「同じ基本フォームでの有能さ」を比較すると、ローグの方が優秀というイメージがあります。

 

ベストパートナー

仮面ライダーエターナル

 「人類に絶望した存在」という意味で似ています。蘇生した死者が変身するエターナルですが、彼の死因は「轢き逃げ」であり蘇生後は人間に対する嫌悪感を持ったテロ組織として活動していました。

 ただしテロ活動初期は「自由」を掲げていましたが、人間の壮絶な非行を目の当たりにしたことで「人類は悪魔」だと決定的に理解することになります。彼もまた人類と敵対する事に躊躇しないタイプであり、その思想が明確な体験に基づいています。

 滅との相性を考える上でも、エターナルのような「人類に虐げられた過去」を持つ存在は迷いを振り切る要因となり、人類に対する敵意をより明確にできるでしょう。加えてエターナルの「他者を従えるカリスマ性」はアーク以上の印象がありますので、信仰にハマりやすい滅を「NEVER」に加入させるくらいの事は出来そうです。

仮面ライダーネクストカイザ

 逆に「悪意は人類に限らない」という結論を促進する存在です。「人類が悪、機械は純粋」といった先入観を持つ滅が「己の性欲に忠実でDVも厭わないロボット」を目の当たりにし「しかも量産されて薄気味悪い笑顔を浮かべている」事実を知れば「あっ、ロボットもやべーわ」と速攻で認識できるはずです。

 滅は機械特効な側面もあり、Aiに対するハッキングも可能ですから性能面でもバッチリです。気に入らない場合は手駒にすれば良いでしょう。

強い?弱い?

 基礎スペック以上の活躍をしている事実は間違いなく、「仮面ライダージョーカー」のようなイメージに近い強さかもしれません。ライダーとしての性能以上に「変身者の成長速度」によって強さがブレるため中々に評価が難しいキャラです。

 ただし歴代最強クラスの基礎スペックを持つライダーが多数登場する『ゼロワン』という作品において、基本フォームでありながらも他に劣らない活躍を見せており、それこそランペイジバルカンと互角の戦いを繰り広げたのは驚異的です。

 機械に対する特効手段がある点も評価に値し、最強クラスと言えるほどの派手さは認められないものの、非常に安定した実力者であると言えるでしょう。

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